Friday, March 07, 2008

Aubrey Beardsley 01

Aubrey Beardsley - Billet Doux from The Rape of the Lock, 1896

「ホイッスラーは最初気がなさそうに見ていたが、次第に関心を示しはじめ、ついには非常に喜んだ。そして、ゆっくりと、こう言った。『オーブリー、私は大変な間違いをしていたよ――君は非常に立派な芸術家だ』。それを聞いた若い画家は、わっと泣き出した。そのときホイッスラーがともかくも言えたのは、『本当だよ――本当だよ――本当だよ』 という言葉だけであった」 スタンリー・ワイントラウブ (Stanley Weintraub) 著 『ビアズリー伝 "Aubrey Beardsley: Imp of the Perverse"』 (中公文庫) 内に引用されているジョセフ・ペネル (Joseph Pennell)、エリザベス・ロビンス・ペネル (Elizabeth Robins Pennell) 夫妻による 『ジェームズ・マクニール・ホイッスラー伝 "The life of James Mcneill Whistler"』 の一場面より




Aubrey Beardsley (オーブリー・ビアズリー)
1872年8月21日イングランド (England) 南部のブライトン (Brighton) で生まれ、1898年3月16日結核のためフランス (France) 南東部のコート・ダジュール (Côte d'Azur) にある町マントン (Menton) にて死去。
言うまでも無く、Aubrey Beardsley はイギリスのヴィクトリア朝期、世紀末美術を代表する画家であり、詩人、作家でもある。
伝記的なことや逸話など、Wikipedia が充実しているし、検索すれば多くの方が Beardsley について語っているので、今回はチョイスした8点の作品を2回に分けてサクサクとポストしておく。

1枚目は、イギリスの詩人アレグザンダー・ポープによって書かれた擬似英雄詩 『髪盗人 "The Rape of the Lock"』 の挿絵として、1896年に描かれた "Billet Doux"。上述のビアズリーとホイッスラーのやり取りは、まずふたりの関係についての了解がないと意味が分からないだろう。アメリカ出身の有名画家ジェームズ・マクニール・ホイッスラー (James Mcneill Whistler) は、オスカー・ワイルド (Oscar Wilde) 嫌いの人物として通っていた。ビアズリーは、そのワイルドの戯曲 『サロメ "Salomé"』 の挿絵を描いたばかりか、ホイッスラーとその婦人の戯画を描いたということもあって、ビアズリーが『イエロー・ブック』に作品を発表している間、それらが嫌いだと公言して憚らなかった。ふたりの仲はかなり険悪なものだったといえる。そういった背景があって、ある夜、ペネル夫妻宅をホイッスラーが訪れたとき、たまたまビアズリーが 『髪盗人 "The Rape of the Lock"』 の挿絵を持って来訪した。ビアズリーは、そこにいたみんなにその挿絵を見せ始めたのだが、もちろんその場にはホイッスラーもいた。そして、あの場面に至ったということになる。
2枚目にポストしたのは、1895年の作品 "Venus between Terminal Gods。
3枚目は、マリオ・プラーツ (Mario Praz) が 『肉体と死と悪魔 - ロマンティック・アゴニー "La carne, la morte e il diavolo nella letteratura romantica"』 の中で 「レズビアン的愛の弁明の書であり、おそらくまた幾分は 《デカダンティスムのバイブル》 でもある」 と呼んだ、テオフィル・ゴーティエ (Théophile Gautier) の 『モーパン嬢 "Mademoiselle de Maupin"』 のために描かれた6枚の挿絵のうち最も有名な 「貴婦人と猿 "The Lady with the Monkey"」 という作品で、1897年の3月頃、ビアズリーは悪化する体調を押しつつこの作品を描いていた。『モーパン嬢』 の挿絵は、墨とぼかし塗りの技法で描かれており、その世界を微妙な濃淡で表現している。
そして最後の作品は、1894年にエドガー・アラン・ポー (Edgar Allan Poe) の短編小説 『赤死病の仮面 "The Masque of the Red Death"』 の挿絵として制作されたものになる。

《関連エントリ》
traveling with the ghost: Aubrey Beardsley 02


Wikipedia
Ciudad de la pintura - La mayor pinacoteca virtual
History of Art: Aubrey Beardsley
Aubrey Beardsley Art Images
The Art of Aubrey Beardsley (A Collection of His Works)
ARC :: Aubrey Beardsley (1872-1898)
The Art Nouveau Home - Arts & Crafts Home
Aubrey Beardsley
Aubrey Beardsley - A Slave to Beauty
Russian Gothic Page - Dark Gothic Art - Paintings by Aubrey Beardsley
Aubrey Beardsley: An Overview
AUBREY BEARDSLEY (1872-1898)

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