Friday, June 26, 2009

Paul Rumsey




Paul Rumsey (ポール・ラムゼイ)
1956年エセックス(Essex)生まれの画家。

小学生の頃は学校に馴染めない劣等生で反抗的な態度をとっていたらしい。
自分の寝室には、アーサー・ミーが編集した『イギリス児童大百科』の1930年代からのものが10巻あり、その中の神話や妖精譚や歴史や動物や絵画や彫刻に関した7000を超えるイラストは、驚きに満ちた世界をラムゼイに垣間見せてくれ、幼い頃はこの本を見ることに多くの時間を費やしたのだそうだ。初期の読書では幻想と不気味なものに特に惹かれ、テセウスの冒険譚やグリムの「こわがることをおぼえるために旅にでかけた男」といった物語は今でも鮮明に憶えているという。

10歳の時に学校のクラスでルーベンスが絵描いた三美神に出合い、両親にせがんでルーベンスに関する書籍を買ってもらう。これかスイスの美術史家ヤーコプ・ブルクハルトの『ルーベンスの回想 "Recollections of Rubens"』たったというのだから、こういった感性についてはかなり早熟だったのだろう。画家のアルバート・ウィリアムズ(Albert Williams)は叔父に当たり、芸術関係の書籍をたくさん送ってもらうようになった。
ベッドルームの壁面をヨアヒム・パティニール(Joachim Patinir)の『岩山の聖ジェローム "St Jerome in a Rocky Landscape"』を貼り付けたり、チェルムズフォードの図書館て多くの時間を過ごすようになる。この頃にウィリアム・ブレイク(William Blake)、アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)、ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch)、そしてピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel de Oude)を発見し、SFとファンタジーに耽溺。エドワード・バーン=ジョーンズ(Edward Coley Burne-Jones)、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(Dante Gabriel Rossetti)、オーブリー・ビアズリー(Aubrey Beardsley)、そしてマックス・エルンスト(Max Ernst)に影響を受け、トールキンとルイス・キャロルのジャバウォックの大きなイラストを絵描いたりするようになり、フィリップ・ジュリアン(Philippe Jullian)の『世紀末の夢 "Dreamers of Decadence"』の読み、1972年に開催されたヘイワード象徴主義展示会にオディロン・ルドン(Odilon Redon)とギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau)を見に行くという生活が始まった。

16歳でコルチェスター美術学校(Colchester School of Art)の基礎コースで学び始め、いつしか髪も長く伸びていた。この頃にその後の作品形成にかかわる重要な本との出合いが訪れる。それは例えば、アルフレート・クビーン(Alfred Kubin)の『死の舞踏 "Dance of Death"』のドローイング集、フランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco de Goya)の『気まぐれ "Los Caprichos"』や『戦争の惨禍 "Los Desastres de la Guerra(Disasters of War)"』や『妄(ロス・デスパラ-テス) "Los Disparates"』、ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ(Giovanni Battista Piranesi)の『牢獄 "Prisons"』連作などであったり、マーヴィン・ピーク(Mervyn Peake)の『ゴーメンガースト三部作 "Gormenghast"』、カフカ(Kafka)、エリアス・カネッティ(Elias Canetti)の『眩暈 "Die Blendung(Auto-da-fé)"』といった文学作品なとである。この『眩暈』やホルヘ・ルイス・ボルヘスの『伝奇集 "Ficciones"』に収録されている「バベルの図書館 "La biblioteca de Babel(The Library of Babel)"」(ラムゼイは英語圏で独自に編まれた短編とエッセイを集めた"Labyrinths"という作品集でこの短編を読んでいる)は、ラムゼイの頭にある図書館のひらめきの基となった。クービンの驚異的な"The Other Side"、J. K. ユイスマンス(J. K. Huysmans)の『さかしま "À rebours(Against the Grain or Against Nature)"』、ピーター・カレル・ブラウン(Peter Currell Brown, Peter C. Brown)のカルトクラシック小説『スモールクリープス・デイ "Smallcreep's Day"』(マイク・ラザフォード(Mike Rutherford)がこの小説を元に組曲を作っている。読んでみたいので、翻訳してくんないかな)を読む日々。彼らは夢のような、不条理に満ちたグロテスクな世界の住人で、ポール・ラムゼイはこの世界からシュルレアリスムとシンボリズムを混ぜ合せなさいという啓示を得る。
しかし美術学校ではルシアン・フロイド(Lucian Freud)やスタンリー・スペンサー(Stanley Spencer)の影響が強い絵を描いて過ごすことになった。

以下もっと続くのだけど、このあたりまでにしておこう。

ポストしたのは次の三点。

"Bodyhead with Vase"
"Artemis of Ephesus"
"Species Gender"


Education:
1972-74 Foundation Course, Colchester School of Art and Design
1974 Awarded Munnings Travel Scholarship
1974-77 B.A., Chelsea School of Art, London


The Paul Rumsey Homepage
Chappel Galleries - Paul Rumsey
PAUL RUMSEY @ Piers Feetham Gallery

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