Sunday, July 05, 2009

Ruud van Empel





Ruud van Empel (ルード・ファン・エンペル)
1958年オランダ生まれの写真家。

昨年の夏に日本でも個展が開催されたので会場を訪れた方も多いのではないかと思う。

Ruud van Empel (ルード・ファン・エンペル)の作品で最初に見たのは、確か"Study in Green"シリーズの人形みたいな少女が写った作品だったと思う。その時はかわいい作品だなくらいに思っていた。白樺などの雑木林を舞台にしたシリーズ"Untitled"を見つけた時も同じ様な感想だったんじゃないだろうか。
しばらくして"Venus"シリーズをどこかで見かけたときは、まるで中世のフランドル絵画に描かれた裸婦といったポーズで生茂る植物群の中に佇むウィリアム・ブレイクの銅版画から抜け出してきた様な黒人少女の強烈な幻想性に、眩暈がするような驚きを感じた。ルード・ファン・エンペルのことが大好きになったのは、この"Venus"シリーズを見てからで、たまに作品を見返すと、ホント溜息が出てしまう。

"Study in Green"の少女を見たときから、多少はデジタル処理されているのだろうなと思っていたが、今回改めて調べてみて、多少どころのデジタル処理ではないことが分かった。
ルード・ヴァン・エンペル-WORLD-展覧会 | 日本オランダ年2008-2009にある解説によると、

作品に写っている少年少女は実在する人物ではなく、すべてエンペルの創造した存在である。何百という写真を撮影し、そのパーツをPC上で組み合わせていくことで、エンペルは彼自身が表現したい世界をまるで絵を描くかのように創りあげる。

ということらしいのだ。
PC上で緻密に構築された世界。だけど、よくあるデジタル処理しまくりのデジタルアートフォト作品みたいな変な閉塞感が感じられないところがスゴイ。作品が狭っ苦しくなく、開放感が感じられる(初期の作品は多少閉塞感が感じられるけど、森を舞台にしているからということにしておく)。特に"Venus"シリーズの植物を透かす光は、何よりも"外"を感じさせてくれるところが素晴らしい。

こういった素晴らしい作品を見ることが、犯罪になってしまう時代がやってくる可能性がある。誰が狂っているのか、何がおかしいのか、もう僕には分からない。

ポストした作品は、

"Venus #5" (2007)
"Venus #7" (2008)
"World #28" (2008)
"Study in Green #2" (2003)
"World #4" (2005)

の5点。


Education:
1976-1981 Academy of Fine Arts Sint Joost Breda


Ruud van Empel
Stux Gallery - Ruud van Empel
Flatland Gallery - artists - Ruud van Empel - works
Contemporary Art GALLERY TERRA TOKYO

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